ニテコ図研の上川です。
前回の記事「Illustratorを使った業務紹介」
「Illustratorで取扱説明書を作成する前に確認すること」
「Illustrator取扱説明書 テンプレートの作成と注意点1」に引続き、
Adobe Illustratorで取扱説明書作成業務について紹介したいと思います。
前回の記事、テンプレートの作成と注意点の続きで、
ドキュメントのカラーモード、裁ち落としラインと塗り足し、線幅について説明したいと思います。
※作成方法、注意事項は、印刷会社によって異なりますのであくまで参考としてください。
ドキュメントのカラーモード RGBとCMYK
ドキュメントのカラーモードは、RGBとCMYKがあります。
大量印刷を基本としている印刷機で印刷する場合は、ドキュメントのカラーモードはCMYKで作成します。
RGBとCMYKは、どちらも色の表現法です。
●RGB『加法混合・加法混色』
光の三原色「R/レッド、G/グリーン、B/ブルー」のことで、混ぜ合わせるほど明るい色へと変化します。
ブラウンや管液晶パネルなどの映像表示に使われています。
RGBはCMYKよりも表現できる色域が広く、鮮やかな色合が表現できます。
●CMYK『減法混色』
色の三原色「C/シアン、M/マゼンタ、Y/イエロー」にK「ブラック」を追加したもので、インクを重ねるほど明度が下がって
色が黒になっていきます。
CMYの3色では純粋な黒が表現できないので、きれいな黒を出すためにKを加えています。
データを紙に印刷した場合などに使われていて、
大量印刷を基本としている印刷機では、CMYKの版を出力してから印刷しています。
RGBで入稿した場合、CMYKに変換されてしまいます。
RGBでしか表現できない色をCMYKでは表現することができないので、変換した後は色味が変化してしまいます。
裁ち落としラインと塗り足し
印刷会社の印刷機は大量に印刷物を作るために、オフィスのプリンタのように仕上がりサイズ(A4見開きなど)の紙に
印刷するのではなく、大きな紙に何面も並べて印刷してから天地左右のトンボを目印にして断裁します。
大量の紙を重ねてまとめて切るので、どうしてもズレが生じます。
仕上がりサイズぴったりに塗りがある場合、ズレたところには白い隙間が出てしまいます。
これを防ぐために、塗りを仕上がりサイズより3mmはみ出させます。
このはみ出させた部分を塗り足しといいます。
また、仕上がりサイズの内側3mmには、文字やイラストを配置しないようにします。
これも断裁した時のズレで文字やイラストが切れてしまうのを防ぐためです。
線幅
Adobe Illustratorの線幅の設定は細くできますが
印刷会社では推奨の最小線幅があり、あまりにも細い線は印刷されません。
また、塗りだけ(塗りあり/線なし)でも見かけ上線が描けますが、印刷されません。
拡大、縮小する際に下記設定がされていると、拡大、縮小する割合と同じように線幅も拡大、縮小されてしまいます。
●「拡大・縮小ツール」のオプション「線幅と効果を拡大・縮小」にチェックが入っている。
●「環境設定/一般」の「線幅と効果も拡大・縮小」にチェックが入っている。
一度、オプションの「線幅と効果を拡大・縮小」にチェックを入れると、次もチェックが入った状態になっています。
また、「バウンディングボックス」「変形」などで拡大縮小しても線幅が変更されます。
思いがけず、線幅が変更される事がありますので拡大、縮小する場合は確認してください。
※Adobe Illustratorのバージョンによって違いがあります。
テンプレートの作成と注意点を二回にわたり紹介しました。
このように印刷会社に入稿できるデータを作成するには、印刷会社によってルールがあります。
入稿する印刷会社が決まっているのであれば事前に確認する事でトラブルが回避でき、安全なデータ作りができます。
記事担当:上川 智子(うえかわさとこ)
Illustratorとチョコレートをこよなく愛する、株式会社ニテコ図研18年目社員。
会社内では特許図面、取扱説明書、パーツリスト作成、3Dデータ作成などを担当している。
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