こんにちは、佐々木です。
弊社ではジャンルを問わず、3Dデータの作成、CG、図面などの制作を行っています。
そのためご依頼をいただくお客様の業種や、制作依頼をいただく図面の種類も様々です。
私自身も担当するものが多岐に渡るため、いつも新鮮な気持ちで業務に取り組んでいます。
最近担当したものは、古い機械図面を3D化するというもの。
知的財産の意匠写真を主に担当する私としては、知財意匠と機械図面との描画の違いに驚きました。
そのときの気持ちをきっかけに、意匠図面と機械図面の違いを記事にいたしました。
意匠図面は整合性キッチリ、機械図面は程よくアバウト
知的財産分野の意匠図面と機械図面とでは使用用途が違うため、図面に記載される情報が異なります。
以前のブログ「意匠とは?意匠図面とは?」でも触れていますが、意匠図面は意匠登録出願のために特許庁へ提出する図面です。
そのため、登録を受ける物品がどのような形状であるかを正確に示す必要があります。
どのように製造するかなど物品が作られる過程は考慮されないため、整合性をきっちりと合わせた図面を作成することが重要です。
図面の製品がまだ製造されておらずアイデアの段階で意匠登録を行う場合もあり
図面には大きさなどを示す寸法数値の記載はありません。
対して機械図面は、製造現場で物を作るときに製造業の専門職の方が見る図面です。
記載情報として形状の正確さもある程度重要となりますが、なにより構造の分かりやすさが重要視されます。
可動部品があれば可動した状態も記載しますし、片側だけ断面図示をするなど、臨機応変、良い意味でアバウトな表記が取り入れられています。
意匠図面が「誰が見てもそれとわかる図面」であるとすれば、機械図面は「製造業に従事する人達が物を作るときに使う図面」です。
機械図面を理解するためにはある程度の知識が必要になるでしょう。
機械図面ならではの表現
意匠図面にはない、機械図面ならではの表現を一部ではありますが紹介いたします。
部品が回転することを示す表現です。回転前の実長を示しながらも、この部分が回転するということを端的に表しています。
知的財産分野での意匠図面では、形状の不一致となることからこの表現は用いられません。
※6面図を別に用意の上、参考図面として提出が可能な場合もあります。
多数の穴など同種同形のものが並ぶ場合に、位置だけを示して形状図示を省略する表現。両端部もしくは要部だけを実形または図記号を用いて示します。
作図の時間短縮ができますが、意匠登録においてこうした省略をしてしまうと
省略された状態で登録となってしまいますので、意匠登録用の図面ではおおよそ採用されない手法です。
同じ形状でも機械図面=意匠図面とはならない
このように用途が違うこと、機械図面ならではの表現があることから、機械図面はそのまま意匠図面としては使用できません。
意匠図面として利用するためには、記載されている寸法を削除する、機械図面での表現を意匠図面として改めるなど手を加える必要があります。
弊社は様々な図面のお困りごとを解決いたします。
今回の記事で触れたように、機械図面から意匠図面への仕様変更なども承っております。
どうぞお気軽にご相談ください。
記事担当:佐々木 紗野(ささき さや)
株式会社ニテコ図研3年目社員。芸術系大学卒で芸術・デザイン関係への関心が高い。会社内ではWEB・教育事業・意匠写真を主に担当している。思ったことをすぐ口にするタイプのため独り言が多く反省中。
趣味はサイクリング。
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